ヨーロッパ域内を飛行機で移動する際、エコノミークラスへの期待値は年々控えめにならざるを得ないのが現状です。この地域の多くの航空会社が短距離路線のサービスを必要最低限にまで削ぎ落とし、座席以外のあらゆるものに追加料金を課すようになっています。そんな逆風のなか、KLMオランダ航空はスカイチーム(SkyTeam)の中でも屈指の実力派エアラインとしての地位を保ち続けており、先日のフライトを体験してみて、その理由が実によく分かりました。
KLMの欧州ネットワークは、乗り継ぎ時間の短さで知られるアムステルダム・スキポール空港を拠点に構築されています。数字上は慌ただしく思えるかもしれませんが、KLMのオペレーションはこのタイトな乗り継ぎを確実に成立させるよう徹底されています。多くの場合、1時間を大幅に切る乗り継ぎ時間で欧州内の次のフライトへと移動でき、これほど高い確実性で実現できているハブ空港は他にはほとんどありません。
今回の旅は、いきなり予定通りにはいきませんでした。KLMの最初の便が欠航になってしまったのです。旅行中には絶対に遭遇したくない事態ですが、その後の対応のスムーズさには目を見張るものがありました。不安になったりサービスデスクに並んだりする暇もないほど、すぐにホテルバウチャーが手渡されたのです。すべての対応がプロアクティブかつ効率的で、落ち着いたものでした。EU規則に基づく補償金(EU261)の請求手続きも驚くほどスムーズで、無駄なやり取りもなく速やかに処理されました。フライトの乱れは時に避けられないものですが、真に優れた航空会社というのは、トラブルが起きたときの対応力でこそ差がつくのだと再認識させられました。
座席と機内の様子
KLMの欧州域内線エコノミークラスにはレザーシートが採用されていますが、個人的には布製シートの方が好みです。見た目は清潔感があってモダンなものの、レザーシートは座った瞬間に少し冷たく感じられ、長時間のフライトでは布製に比べて疲れやすい印象を受けます。とはいえ、機内全体は非常に行き届いたメンテナンスが施されており、KLMおなじみのブルーのトーンがオランダらしい洗練された雰囲気を醸し出しています。

足元のスペース(レッグルーム)はかなりタイトですが、残念ながらこれは欧州短距離線のエコノミークラスでは標準的な広さとなっています。長身の乗客にとっては手狭に感じるのは間違いなく、特に2時間前後のフライトではそれが顕著になります。耐えられないほど窮屈というわけではありませんが、決して広々としているとは言えません。

非常に嬉しかった設備が、USB充電ポートが備わっていたことです。欧州のナローボディ機(単通路機)ではまだ設置されていない機材も多いため、フライト中にスマートフォンなどの小型デバイスを充電できるのは大きなアドバンテージです。モバイル搭乗券やナビアプリ、機内での個人用エンターテインメントにスマホを頼る旅行者にとって、こうした細やかな配慮は確かな違いを生み出します。
機内食・ドリンクサービス
こここそが、他の多くの欧州系ライバル航空会社と比べてKLMが真に輝くポイントです。今回のフライトでは、エコノミークラスの全乗客に無料でケーキ(焼き菓子)が配られました。機内販売(Buy-on-board)が当たり前となった今日の欧州航空業界において、無料で軽食が提供されるのは、古き良きフルサービスキャリアの面影を最高のかたちで感じさせてくれます。

ケーキに加えて、ソフトドリンクも無料で提供されました。サービス中に慌ただしさや手抜きを感じることは一切ありませんでした。客室乗務員の手際も良く、コスト削減に走る短距離路線というよりも、伝統的なフルサービスフライトに乗っているかのような心地よい雰囲気が漂っていました。
さらに心から驚かされたのは、クルーが2度目の機内サービスに回り、ケーキとドリンクのおかわりを配ってくれたことです。これは現在の欧州エコノミークラスではまず見られない光景です。形だけのサービスではなく、乗客に快適に過ごしてもらい、しっかりともてなそうという本物の気配りが感じられました。業界全体でサービスへの期待値が下がっている時代だからこそ、こうしたひとときが一段と際立ちます。
総評
欧州の航空会社は過去10年間で機内サービスを劇的に縮小させ、マイラーにとっても短距離線における「フルサービス」の意味に懐疑的になってしまいがちです。だからこそ、追加料金の徴収や細かな有料オプションに縛られることなく、航空券代の範囲内で今なお軽食とドリンクを提供し続けるKLMのような航空会社に乗ると、実に清々しい気持ちにさせてくれます。
機内食サービスにとどまらず、KLMは常に安定した信頼性の高いフライト体験を提供してくれる点で頭一つ抜けています。イレギュラー時の見事な対応力から、USBポートや無料の飲食といった細やかな気配りに至るまで、欧州エコノミークラスでも十分な価値を提供できることをKLMは証明してくれています。合理化が進み画一的になりつつある欧州市場において、KLMの存在感は際立っており、それこそが欧州内の移動で私がスカイチーム加盟社としてKLMを選び続ける決定的な理由です。









